安全神話が崩壊したあの日…
その日,ラッツェンバーガーがこの世を去って,重い空気の中サンマリノGPの決勝は始まった.
彼の母国の国旗を忍ばせ,史上最多ポールポジションを記録したセナは,グリッドに着く.
いつもの気力に漲った様子とは程遠い.だが,スタートして行った.
2番手はシューマッハ.
開幕直後事故が起こり,セーフティーカーが入る.
そして,セーフティーカーがいなくなり,タンブレロを行く.
セナを乗せたウィリアムズのFW16はコースから外れていく….それは,シューマッハの車載カメラにも捉えられていた.
最期まで,レコードラインを見つめていた….
シューマッハは,セナの前を走る機会を永遠に失った.
“Alain, I miss you.”
無線でかつての宿敵アラン・プロストに云っていた言葉.
ラッチェンバーがーがこの世を去った後,グランプリドクターが彼に引退を迫った.
彼は云った.
“Sid, there are certain things over which we have no control. I cannot quit, I have to go on.”
人は何事もなく過ごすこの日.
俺にとっては特別な日.
黙祷.